情報って形がないって言うけど、それってどういう意味だろう?
データとか写真とか、形があるように見えるけど…。
そうだね、それに情報がなぜ消えないのかもよくわからない。
SNSで削除した投稿は本当になくなるわけじゃないの?
それと、情報がどうやってあっという間に広がるのかもピンとこないな。
どうして情報はそんなに速く伝わるんだろう?
高等学校の「情報Ⅰ」の1分野「情報社会の進展と情報技術」の中で、「情報の特性」について学習します。
情報の特性は情報Ⅰを学ぶ際の最初の内容になります。
情報Ⅰという科目の名前にも含まれている「情報」。
皆さんの中には、
- 情報ってどんな特性があるの?
- 私たちはその特性を踏まえて、SNSなどでどのような発信をしていくのがいいんだろう?
などと、よくわからないまま、普段情報を扱っている人も多いかもしれませんね。
簡単に言いますと、「情報の特性」としては、
- 形がない
- 消えない(残存性)
- 複製が容易(複製性)
- 容易に伝播する(伝播性)
が挙げられます。
こんにちは。学校の教育現場や情報科の授業内容について発信中!
10年近く高等学校の情報科の教員をしている、花音といいます。
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- 幼少期からPCを触るのが大好き
- 数学が得意なバリバリ理系かと思いきや、読書も大好きな文系もいけるタイプ
- 高等学校の情報科の教員の経験あり
- 健康や美容、動物に関する動画を視聴するのが日常
皆さんは、普段あまり頭で意識することなく、情報を使っていることと思います。
テレビやインターネットで流れてくる情報。
現代社会において情報は、私たちの日常生活に不可欠な要素です。
しかし、情報そのものが何であるかを正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。
今回は、情報Ⅰの「情報の特性」で学ぶ内容について、わかりやすく解説していきます。
以下の記事をお読みいただければ、情報の特性について知ることができるだけでなく、情報をどのように発信していくべきか考えることができますよ。
情報の特性を理解することで、スマートフォンやコンピュータで情報を得るときや発信するときに役立てることができます。
それでは、情報の特性について学んでいきましょう!
情報の特性について学ぶ
情報とは?
皆さんは「情報って何?」「自分の言葉で説明してください」と言われたら、何と答えますか?
普段世の中にありふれている「情報」。
でも、いざ説明するとなると、どう説明するのがいいんだろうと悩む人も多いかもしれません。
情報
「inform」の名詞形
語源はラテン語「informare」(形を作る、形式)
1.ある事柄についての知らせ。「極秘-」
2.判断を下したり行動を起こしたりするために必要な、種々の媒体を介しての知識。「-が不足している」
(出典:広辞苑)
「情報」という言葉を考えるとき、「データ」との関わりも知っておくといいでしょう。
データ
事実や事柄を数値や文字、記号であらわしたもの。
(例)
1234
0312345678情報
人にとって意味や価値のあるもの。
(例)
1年2組34番 学籍番号
03(1234)5678 電話番号(出典:日本文教出版「情報Ⅰ」)
データに人間が解釈を加えることで、意味や価値をもつようになります。
例えば、気温や降水量はそれぞれ単なる事実を示すデータですが、天気予報というのはそれらのデータを元に作られた、意味や価値を付加されたものになり、情報となるわけです。
情報とは、事物や出来事の内容や様子を示し、行動や意思を決めるときの判断材料になる事柄を指します。
一般には、データや知識まで含めた広い意味で用いられることも多いです。
情報の代表的な特性
「情報」は、「もの」とは異なり形がありません。
情報は物理的な形態を持たず、目に見えるものではない。
この特性は情報が物質とは異なり、直接的な感覚で捉えることができないことを意味している。
例えば、ものである本はAさんにもBさんにも目で見て認識することができます。
それに対し、情報は目に見えず、各自が解釈をするものなので、同じ情報であってもAさんとBさんでは解釈が変わる可能性があります。
また、「もの」と大きく異なる点として3つの特性があります。
一度発信された情報は、削除しようとしてもインターネットのどこかに残り続けることが多い。
これは情報が一度広まると、その痕跡を完全に消し去ることが困難であることを示している。
例えば、ものである本は、AさんがBさんに渡すとAさんの手元からはなくなります。
しかし、情報の場合はAさんがBさんに情報を伝えたとしても、Aさんが記憶している限りAさんの中にも残り続けます。
複製性(複製が容易)
情報は容易にコピーすることができる。
これにより、情報はオリジナルと全く同じ形で無限に複製される可能性がある。
例えば、ものである本を複製しようと思った場合、時間と手間とコストがかかります。
本の場合は同じクオリティのものを複製することができるかもしれませんが、ケーキのようなものの場合は同じ材料、同じ工程を経たとしても、失敗して同じクオリティのものを維持できない可能性もあります。
それに対し、情報の場合は、デジタル媒体であれば同じクオリティのものを大量に複製することが可能です。
最近はインターネット上に音楽や画像、動画等を簡単にアップロードしたり、ダウンロードしたりできるようになりました。
本来お金を出して購入するはずのアーティストの音楽やコンサート、映画の映像などが無断でアップロードされることで、著作権や肖像権などの侵害の問題が多く発生しています。
他人の権利を侵害しないように、情報を発信、受信していきたいところですね。
情報は瞬時に広がる能力を持っている。
特にインターネットを介して、情報は世界中に急速に拡散することができる。
例えば、ものである本を世界中に人に広めようと思った場合、飛行機や船で輸送するなど、物理的な手間がかかります。
それに対し、情報の場合は、インターネットを用いれば、遠くにいる人にも瞬時に伝えることができます。
テレビのニュースでも、全世界で今起きている事件や事故の様子をリアルタイムに中継で流すというのは、よく見かけますよね。
(出典:「【高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)】第1章」 P.17)
一方で、情報には「形がない」ことから、人々が情報をやりとりするには何らかの媒介が必要になります。
これがメディアです。
例えば、書籍、インターネット、SNSなどといったメディアが情報を伝える手段として機能します。
情報の発信時に注意すること ~情報の特性をしっかり理解しよう~
SNSで一度発信した情報は、誤りに気付いて消去しても、完全には消すことができないといいます。
その理由は何だと思いますか?
SNSなどを通じてインターネットに発信した場合、SNSを閲覧した者がその内容を複製して、別のSNSにその情報を流したり、知人などに情報提供したりして情報が広がっていきます。
これは情報の複製性と伝播性によるものです。
したがって、情報の誤りに気付いて自分が発信したSNS上の情報を消去したとしても、すでに複製された情報が拡散しているため、すべての情報を消去することは不可能なのです。
また、情報の性質には残存性があり、消去する前に閲覧した大勢の人々の記憶からその情報を消し去ることは不可能です。
このように、一度公開された情報は完全に消すことはできません。
したがって、SNSに情報を発信する際には、誤りがないように、また不適切な情報を流さないように細心の注意を払う必要があります。
このように、情報の特性を理解することは、情報を適切に扱うために非常に重要です。
特に、誤った情報を流さないように注意が必要です。
一度発信された情報は、自分の意図しない形で広がり、予期せぬ結果を招くことがあります。
そのため、情報を発信する際には、その内容の正確性を確認し、不適切な情報が流れないようにする必要があります。
情報の特性を踏まえて、正しく発信しよう!
情報の特性を理解することは、情報を正しく扱い、有効に活用するための第一歩です。
情報は形がないため、直接触れることはできませんが、その存在は私たちの生活において無視できないほど重要になっています。
情報Ⅰを学ぶ皆さんは、情報がどのようにして残存し、複製され、そして伝播するのかを理解することが必要です。
これらの特性を把握することで、情報社会で賢く生きるためのスキルを身につけることができます。
未来は情報をどう扱うかによって大きく変わるかもしれません。
情報に対する正しい理解と扱い方を学び、情報豊かな社会を生き抜く力を養いましょう。
情報の流れを読み解き、それを自分の利益につなげることができれば、より良い意思決定を行い、情報を力に変えることができます。
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