メディアの進化とコミュニケーションの未来

電話とインターネット 情報科

メディアとコミュニケーションの関係 ~メディアとは~

普段皆さんは、さまざまなメディアを利用していることかと思います。

と言っても、そもそも「メディア」とは何を示す言葉なのか、明確に理解していない人もいるかもしれませんね。

メディアとは、情報を伝達するための仲介役となるものです。

メディアは「media」という言葉の複数形で、語源はラテン語の「medium」(中間)です。

これは媒体や手段を意味し、特にマスコミュニケーションの媒体を指します。

私たちは情報を他人に伝えるとき、メディアを利用します。

メディアにはさまざまな種類や特徴などがあります。

情報を的確に扱うためには、メディアの特徴や特性を踏まえて、情報を読み解いたり、表現・発信したりすることが重要です。

メディアの発達

メディアの発達は、時代とともに進んできました。

メディアの発達

(出典:実教出版「最新社会と情報」)

記録メディアの発達

昔は「身振り・手振り・音声」でコミュニケーションを取っていました。

「文字」が発明されたことによって、情報を形に残せるようになりました。

文字により、直接会話できなくても情報を伝達できるようになります。

風化しにくく扱いやすい「紙」が発明されたことにより、より情報を後世に残しやすくなりました。

「印刷技術」が発達することにより、より多くの人に同じ情報に伝達できるようになりました。

「写真」が発明され、画像として記録が残せるようになりました。

通信技術の発達

昔は、「のろし」を使って遠いところにいる人へ情報を伝達していました。

「腕木通信」なんてものを利用していたときもあります。

18世紀末から19世紀半ばにかけて普及した情報通信手法のひとつです。

塔の中にいる通信手がハンドルを操作し、滑車とロープによって腕木を動かします。

それを8~15km程度離れた次の塔にいる通信手が望遠鏡で観察し、自分の腕木を同じ形に動かします。

それをまた次の塔にいる通信手が望遠鏡で観察し、腕木を動かす……というのを繰り返し、バケツリレー方式で情報を伝えていくわけですね。

これによって、数百km離れた場所にもわずか数分でひとつの信号を伝えることができたといいます。

インターネットにより瞬時に全世界に情報を届けることができるのが当たり前となった現在では、そんな大変なことをやるなんて…と思ってしまうかもしれません。

しかし、当時としてはとても画期的な通信手段だったのです。

これにより、短い時間で遠くへ伝達できるようになりました。

「電信・電話」の技術が生まれたことによって、遠くにいる人にも瞬時に情報を伝達できるようになり、ファクシミリ(いわゆるファックス)を使って画像も送れるようになりました。

今ではあまり使われなくなっているかと思いきや、コロナ禍において医療機関から保健所への手書きの書類の提出をファックスを使っているというニュースが流れていました。

改めてコンピュータでデータを集約する時間や手間が掛かるとはいえ、そういった手書きの資料の場合は仕方ないところもあるのかもしれないですね。

さて、話は戻って、現在は「携帯電話・スマートフォン」があります。

移動中の情報伝達も可能になりました。

たとえ地下を通る地下鉄に乗っていても、トンネルがある新幹線に乗っていても、空を飛ぶ飛行機を載っていても、通信がつながるようになった今では、移動中で連絡手段がないから連絡が取れない、とは言えないわけです。

飛行機に乗ってもWi-Fiサービスが提供されるのが多くなってきており、便利になっています。

より多くの人への情報伝達

近代になって、さまざまな情報機器が発明されました。

その一つが「ラジオ」です。

ラジオによって、ニュースを紙ではなく、音声として瞬時に多くの人に伝えることができるようになりました。

「テレビ」は音声だけでなく、動画として伝達されるため、より伝えたい内容をわかりやすく伝えることができます。

今では「インターネット」があるため、個人が世界中の人々に情報発信できるようになりました。

皆さんもSNSなどを使って、個人で発信する場面もあるでしょう。

ただし、発信するときはその内容をよく考えて発信しなければなりません。

そして、テレビは2011年にアナログ放送から「デジタル放送」になりました。

それに伴い、双方向な通信が可能になっています。

リモコンの操作で視聴者参加型の番組、例えばクイズやリクエスト番組などに参加できるようになっています。

皆さんもやってみたことがある人がいるのではないでしょうか。

メディアの特徴

メディアには大きく3つの特徴があります。

空間を超えて情報を伝達すること

例)のろし、手旗信号、モールス信号、電話など

例えば、のろしは煙を利用して遠くにいる人に情報を伝達することができますね。

モールス信号と言えば、船などでの遭難信号SOSを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか?

短いビット列(・)と長いビット列(-)を使い、情報を伝えるものですね。

遭難信号SOSは「・・・---・・・」(トントントンツーツーツートントントン)と打ちます。

映画にもなり有名になったタイタニック号では、このSOSが使われました。

時間を超えて情報を伝達すること

例)洞窟や古墳に残された壁画、石板に残された文字、HDD、DVDなど

たとえ昔のものであってもそれが形として残っていた場合、壁画や石版に残ったものから昔の人々の生活や起こった出来事を知ることができます。

HDD(ハードディスクドライブ)やDVDは現代になってから使われるようになったものです。

記憶装置のひとつのため、そこにデータを記憶させることで、未来でもそのデータを使うことができます。

ただ気をつけておかなければならないのが、未来においてそのデータを再生するための機器が使えるか、データを適切に保存できているか、といったことです。

多くの受信者に情報を伝達すること

活版印刷、書籍、テレビ、などがこれに該当します。

印刷技術が生まれたことで、情報はより多くの人々に伝わりやすくなりました。

紙を使う書籍であれば、同じものを印刷して世界中に広めようとすると時間はかかりますが、可能です。

テレビであれば、一瞬で全世界に情報が伝わってしまいます。

メディアの特徴

手紙や新聞なども同じですね。

ただ今は電波やインターネットといったものがあります。

電波を使えばテレビを通じて、インターネットを使えばWebサイトを通じて、リアルタイムの情報を伝えることができます。

遠い場所にいる人同士でつながり、SNSなどを使ってコミュニケーションをとることが可能です。

電話は遠くの人とコミュニケーションがとれる手段のひとつですが、元々お互いが知り合いで電話番号を知らなければやり取りはできません。

しかし、SNSであれば、対面したことがなくてもコミュニケーションが可能です。

本名や生年月日、性別など、個人情報を伏せた状態でも、やり取りは可能です。

これらのメディアは、私たちが毎日生活をしていく中で、メッセージのやり取りや情報の収集を助ける役割を果たしています。

メディアの分類

メディアは、次の「表現のためのメディア」「伝達のためのメディア」「記録のためのメディア」の3つに分類することができます。

表現のためのメディア 伝達のためのメディア 記録のためのメディア
情報を表現する手段として使われるメディア 情報の伝達や通信の仲立ちとして使われるメディア 情報の記録や蓄積のために使われるメディア
表現のためのメディア 伝達のためのメディア 記録のためのメディア
(例)
文字、静止画(写真、絵)
音楽、音声
(人間の声、効果音)
動画(映画、ビデオ、
アニメーション)
数字、記号、図、表など
(例)
手紙、郵便、新聞
書籍・雑誌
電話、スマートフォン
看板、ラジオ、テレビ
FAX、電子メール
インターネットなど
(例)
紙、手帳、ノート、クラウド
光(光学)ディスク
(CD、DVD、BD
(Blu-ray Disc))、HDD
(ハードディスクドライブ)
SSD、フラッシュメモリ
電波、空気、光ファイバ
LANケーブル、電話回線など

 

メディアとコミュニケーションの関係 ~コミュニケーションとは~

メディアの登場とコミュニケーションの変化

人と人が意思や感情、思考を伝達し合うことを「コミュニケーション」と言います。

コミュニケーションは、ラテン語の「communicare」(共通のものにする)や「communis」(共通の)に由来します。

社会生活を営む人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達を意味し、言語・文字その他視覚・聴覚に訴える各種のものを媒介とします。

(出典:岩波書店「広辞苑」)

また、情報を伝達するための仲介役となるものが「メディア」です。

情報技術の発展によってさまざまなコミュニケーション手段が生まれ、新たなメディアが登場することで社会が変化してきました。

時間や空間を超えたコミュニケーションができるようになり、限られた人だけでなく誰もがいつでも世界中に情報発信できるようになってきました。

考えてみよう
平日の1日を振り返り、何の「メディア」を使って、どんな「目的」でコミュニケーションをとっているか、考えてみましょう。

(例)
Teams:オンライン授業を受けるため
LINE:友だちに宿題を確認するため
Instagram:世界中の人と、大好きな風景の写真について情報などを交換するため
電話:家族に帰宅時間を伝えるため

 

コミュニケーションの形態

方向

一方向
情報の送り手になる。
例)新聞
双方向
情報の送り手にも受け手にもなる。
例)SNS

同期性

同期型
互いが同じ時間を共有する。
例)電話
非同期型
発信者と受信者は同じ時間を共有する必要がない。
例)電子掲示板

発信者と受信者の人数

1対1(個別型)
発信者1人に対し、受信者も1人である。
例)電子メール
1対多(マスコミ型)
発信者1人に対し、受信者が複数である。
例)テレビ
多対1(逆マスコミ型)
発信者複数に対し、受信者が1人である。
多対多(会議型)
発信者複数に対し、受信者も複数である。
例)オンライン会議
考えてみよう
次の表に挙げられたメディアについて、表現のためのメディアの種類、方向、形態、同期性、信憑性をそれぞれ○△×で評価しましょう。○:対応 △:やや対応 ×:非対応

表現のためのメディア 文字 音声 静止画 動画 方向 形態 同期性 信憑性
手紙 × × 双方向 1対1 ×
新聞 × × 一方向 1対多 ×
ラジオ × × × 一方向 1対多
オンライン会議 双方向 多対多
Webページ 一方向 1対多 ×
電子メール 双方向 1対1 ×
SNS 双方向 多対多 ×

メディアをよく理解して、適切なコミュニケーションをしていこう

メディアとコミュニケーションは、情報伝達と私たち人間が相互理解していくために不可欠なものです。

例えば、新聞のような一方向型メディアは情報提供に使われています。

SNSのような双方向型メディアは対話と交流に利用されています。

他にも、電話のような同期型メディアはリアルタイムのコミュニケーションに、電子掲示板のような非同期型メディアはは時間を超えたやり取りに適していましたね。

このように、それぞれのメディアには特性や特徴があります。

これらのメディアの特性・特徴を理解し、状況に応じて適切なメディアを選択することが重要なのです。

例えば、緊急性の高い情報を電子メールのような非同期型メディアで共有したらどうなるのでしょうか?

相手がその情報に気づいておらず、すぐに対応できなくて困ることになります。

ですから、こういうときは電話のような同期型メディアで共有していく必要がありますね。

また、深い議論や意見交換は双方向型メディアで行うことで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。

この記事では、「メディアとコミュニケーション」について取り上げました。

この記事で学んだことをぜひ生かして、より効果的なコミュニケーションをとっていってください。

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